【読書】ファーマゲドン
日経の書評を目にして図書館で予約したのが4月。ようやく順番が回ってきた。
副題「安い肉の本当のコスト」とあるように、効率的な生産を目指した工業型畜産の側面を明らかにして、
その負荷によって地球の生態系が危機に瀕していると訴える本。
世界の人口増、人々の肉食化で増えた畜肉の需要を満たすために、世界中に広まる工業型畜産。
伝統的な畜産システムとは異なり、大量の穀物や大豆が家畜に与えられ、今では全世界で生産される穀物の1/3が餌になっているとはたまげた。
穀物や大豆の栽培も集約化され、単品栽培の大規模農場では、化学物質の影響で植物生物の数も減少している。
化学物質に弱い蜂の数も減少しており、このままでは蜂が担っている植物の受粉も危機に瀕する。
という下りで、先日見た映画「夏をゆく人々」と重なった。
伝統的な養蜂を行う父親が、農薬を使用した近所の農家に詰め寄るシーン。
文明への危機感という点では、重なる作品だ。
成長や効率性の追求は限界に来ているという議論は常にある。
中国経済の減速、1000万台を目指したVWの不正を見るに、そうした議論が再燃することでしょう。